お腹にも快楽ホルモンが分泌されていた
今回のコロナ騒ぎにおいても、同じ濃厚接触者でもコロナに感染してしまう人と、感染しない人、感染はしているけれど無症状の人と3パターンあるわけですが、個人の免疫の力がいかに影響するかがわかったように思います。
そして、その鍵を握る臓器は腸であるのは言うまでもありません。腸は、脳からの指令を受けなくとも、胃から下りてきた食べ物の成分を分析して他の臓器から一番合う分解酵素を出させ、勝手に食物を消化吸収していきます。
もし有毒なものが入ってきたら、多量の腸液を分泌して便をゆるくし、体外に排出しようとします。これが下痢であり、体の大事な防衛反応です。
そして腸は、一番異物に接触しやすい場所なのです。寒い時期になると子どもがよくかかる「嘔吐下痢症」と呼ばれるものは、ロタウィルスやノロウィルスによって引き起こされます。
これは口や鼻から入り、胃の粘膜に感染するとあっという間に増殖して腸に達してしまうのです。腸管の粘膜やその周囲のリンパ管にはリンパ球がたくさん集まり、免疫系が活躍しています。
腸の動きが速ければお腹が痛み、動きが鈍ければ便秘になります。腸の動きがスムーズだと快適な腸内環境というわけでセロトニンというホルモンが出ます。
セロトニンは人を快活にし、このホルモンが不足すると、感情にブレーキが利かなくなり、うつ病やひきこもりなどになりやすいと言われます。これは脳から出ていますが、腸管からも出ているのです。
つまり、腸の状態がいいと人は機嫌がよくなり、NK細胞が活性化されて免疫力が高まります。逆にイライラなどマイナスのストレスが重なると、腸管の動きが悪くなり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍になったりします。
腸が若く健康であるほど免疫力が高く、腸年齢が若いほど脳年齢も若いという調査結果もあります。
このように、腸と脳と免疫はリンクしているのです。一見、脳にも心にも関係がないように見える腸ですが、免疫力との関わりから見れば、ストレスの影響を強く受けていることがよくわかります。昔から「はらわたがちぎれるほどの悲しみ」「断腸の思い」「はらわたが煮えくり返る」という言葉がありますが、本当によく言ったものです。