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適度にがんばることと、適度に休むバランスが大切

適度にがんばる
適度にがんばる

体を温めるだけでつかれにくい体になる

「活動しすぎ」か「リラックスしすぎ」かこの両極端な生き方が疲れや病気の原因です。「活動しすぎ」は交感神経優位、「リラックスしすぎ」は、副交感神経が優位の生き方です。

交感神経を価位にさせる要因は、「過度のストレス」です。ストレスにはさまざまな種類がありますが、おもに現代人に大きく影響しているのは、次の3つです。

  1. 働きすぎ
    自律神経のバランスを崩す最たるものでしょう。眼精疲労、冷房などによる体の冷やしすぎ、睡眠不足などが多大なストレスになります。
  2. ここの悩み
    精神的なストレスも、交感神経を緊張させます。
  3. 薬の常用
    西洋医学で処方される薬は、ほとんどが交感神経を緊張させるものです。特に、消炎鎮痛剤や降圧剤やステロイド剤を数週間以上の長期にわたって使用すると、体を交感神経優位に傾かせます。

これらの3つの要因によって引き起こされる、さまざまな疲れ現象についての詳細は後に記します。仕事や人間関係に緊張を強いられることもなく、運動不足で毎日を過ごしている例です。先ほどストレスは交感神経を緊張させると述べましたが、じつは、ストレスの少ない生活も、疲れを生むのです。

簡単な対処法は、ちょっとした体操をするなど、体を動かすことです。このように、疲れを生む原因は、両極端の生き方、つまり、バランスの悪い生き方にあるのです。そうした極端な生き方は、今すぐやめましょう。人間の体には、括動と休息を交互に繰り返す、メリハリの利いた生活が必要なのです。

健康年齢をのばすための自己チェック

交感神経・副交感神経の自己診断
交感神経・副交感神経の自己診断

それではまず、あなたの疲れのタイプを知るために、以下の自己チェックを行ってみましょう。
AとBの両方をやってください。あてはまる数を数えてみましょう。

A(交感神経優位タイプ)

  • 肌の色/どちらかというと色黒
  • 体型/筋肉質(引き締まっている)
  • 体温/体の冷えを感じることが多い
  • 体力/無理をしすぎで疲れる
  • 動作/機敏、歩くスピードも速い
  • 体のトラブル/胃炎や口内炎やにきびができやすい
  • 胃腸/下痢よりも便秘が多い
  • 性格/何事も集中する
  • 性格/喜怒哀楽が激しい
  • 性格/他人の目、意見は気にしない
  • 性格/悩みがち
  • 性格/活動的
  • 食べ方/食事の時間は短い
  • 食べ物/肉や脂っこいものをよく食べる
  • 食べ物/刺激の強いものより甘いものを好む
  • 入浴/入浴時間は長い
  • 薬/定期的に飲んでいる薬がある
  • 生活/仕事などで忙しいのは当たり前
  • 睡眠不足になりがち

B(副交感神経優位タイプ)

  • 肌の色/どちらかというと色白
  • 体型/ふっくら、ぽっちゃり
  • 体温/体が冷えることはあまりない
  • 体力/少し動くだけでも疲れる
  • 動作/体のうごきはゆったりしている
  • 体のトラブル/胃どちらかというとアレルギー体質
  • 胃腸/便秘より下痢が多い
  • 性格/あまり無理をしない
  • 性格/おっとりしていて穏やか
  • 性格/他人の目が気になる
  • 性格/悩まない
  • 性格/静かで落ち着いている
  • 食べ方/食事の時間は長い
  • 食べ物/野菜やあっさりしているものを食べる
  • 食べ物/刺激のあるもんを好む
  • 入浴/入浴は湯船にゆっくりつかる
  • 薬/できるだけ飲まない
  • 生活/忙しい生活は避けたい
  • 睡眠時間は十分にとる

疲れやすいタイプか疲れにくいタイプか

Aが多かった人

自律神経の中でも「交感神経」が優位になったことによる疲れを感じやすい人です。「忙しすぎて、いつも疲れている」タイプで、激務に追われるビジネスパーソンがその典型です。忙しい現代人は、7割以上の人が当てはまります。

Bが多かった人

「副交感神経」価値による疲れを感じることが多い人です。
過保護に育てられた小学生が「体を動かし始めるとすぐに疲れる」ような状態。「リラックスしすぎて、体の機能が低下し、すぐに疲れが出る」タイプです。体の頑張りの許容範囲が狭いのです。ビジネスパーソンには少ないですが、それでも女性を中心に3割ほどの人がこのタイプです。

AとBでは、疲れの感覚は似ているかもしれませんが、そこに至るメカニズム、なりやすい病気がまったく違うのです。

AとBの数の差があまりなかった人(1~3くらい) で、体調がよい人は、自律神経のバランスが取れており、あまり疲れで悩まない人です。体調の悪い人は、自律神経の働きが、不安定になっている人です。

体の中のシーソーを働かせる

「交感神経、副交感神経が、疲れとどう関係があるのだろう?」と感じた人もいると思いますが、じつは、これがとても関係があります。
交感神経と副交感神経を併せて自律神経といいます。自律神経とは、人間の活動と休息に合わせて、体の各組織を無意識のうちに調整している神経のことです。
交感神経とは、おもに昼間に働きます。人が活動する時や運動をしている時に活性化し、「元気いっぱい」「やる気まんまん」の状態をつくり出す神経といえるでしょう。

具体的には、心臓に働きかけて拍動を速くし、血管を収縮させて血圧を上げます。呼吸も速く浅くします。こうすることで、心身共に興奮状態をつくり、活発に活動しやすくするのです。

活動時は、体に傷をつくることなども多くなるので、傷から侵入する細菌などの外敵から体を守る必要も出てきます。そのため、交感神経が活性化すると、体を外敵から守る「白血球」のうち、細菌などを攻撃する役割の「顆粒球」が増えます。

副交感神経は交感神経の逆で、おもに夕方から夜にかけて働きます。人間が休む時や、食事をした時に活性化して、「ゆったり気分」「のぴのぴリラックス」の状態をつくり出す神経です。

具体的には、心臓の拍動を遅くし、血管を拡張させ、呼吸を深くゆっくり安定させます。食後に胃腸の働きを活発化させて消化を助ける役割も果たします。食後は、すぐ行動を起こしにくいものですが、それは心身共に、穏やかな休息に通した状態をつくり出しているからです。

また、休息時、体内では、白血球の一種の「リンパ球」が、がんなどの異常細胞を攻撃して体を防衛、メンテナンスしています。リンパ球は、食事によって体内に入ってくる異物から体を守る働きがあり、副交感神経は、このリンパ球を増やす働きもあります。

人間の体は、このように、自律神経によって、体中の細胞を極めて合理的に調整し、活動時と休息時に適した体調をつくり上げているのです。
交感神経と副交感神経は、通常は指抗関係にあり、シーソーのように交互に活発化して、体に働きかけています。どちらか一方が働いた後は、必ず揺り戻しがきてもう一方の神経が働き始めることを繰り返すわけです。

このようにしながら、活動と休息のリズムをつくつて、体の調子を整えています。このシーソーの働きがうまくいっている時は、生活にメリハリがつき、体調もいい状態が続きます。

ところが、シーソーの働きを無視して、働きすぎたり、リラックスしすぎたりといった生活を続けていると、一方の神経だけが優位になり、もう一方の神経タイプに戻りにくい体質になっていきます。こうなると、偏った側に特有の疲れが現れ、その先に病気が待っているのです。さきほどのチェックリストで、項目AとBのチェック数の差が大きいほど、チェックが多くなったタイプへの偏りが激しいと考えてよいでしょう。

全身疲労で「鉛のように体が重い」場合は?

チェックリストでAが多かった人は、交感神経の緊張が続くような生き方をしている人と言えます。このタイプは、とても活動的で、色黒で、筋肉が発達している人が多いです。動作は機敏で、歩く速度も速い。喜怒哀楽がわりあいはっきりしていて、興奮しやすいタイプと言えるでしょう。
基本的に、男性は、このタイプが多いです。女性でも、活動的な人は、このタイブに当てはまるでしょう。副交感神経が優位になる時間帯、つまり食事や入浴、睡眠の時間が短いのも特徴です。

「元気はつらつなら、それでいいのでは?」と思う人もいると思いますが、この状態のまま、休息が不十分な生活を続けてしまうと、交感神経が優位な状態が続きます。すると、「副交感神経を刺激して休みたい」という無意識の欲求が湧き、体がうまみの強いものや甘いものを欲するようになります。仕事が忙しくて、休みたくても休めない。今日も疲れを引きずりながら、また頑張って働くこんな生活を続けているとどうなるでしょうか?
交感神経優位タイプの疲れの感覚を、具体的に見てみましょう。

交感神経優位タイプの疲れの感覚

いつも、体が疲れている。イライラする。ピリピリした不安感が強い。原因を周りの人のせいにして怒りやすい。興奮して夜眠れない。血圧が高い。血糖値が高い。背中・腰に、活動しすぎによる疲れ、痛みが出る。便秘がひどい。体温が低い。
これが、さらに続くと、交感神経型の病気の世界に入っていきます。
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体がだるくて「やる気が出ない」場合は?

交感神経が優位のAタイプとは逆に、生活から忙しさを排除して、リラックスしてばかりいればいいかというと、そうではありません。人間はリラックスしすぎても疲れが出てしまうのです。
チェックリストで、Bの副交感神経が優位と出た人がまさにその典型。Bタイプは、食事や入浴、睡眠など、副交感神経が優位になる時間を長く取り、交感神経を刺激する時間の少ない生活を送る傾向があります。穏やかな気分でいることが多い反面、行きすぎると、気持ちが沈んで、しょんぼりしやすくなります。

また、副交感神経が優位になると神経伝達物質の分泌も多くなるので、さまざまな感覚が敏感になります。痛みやかゆみが強くなったり、他人の視線や言葉が気になりやすくなったりもします。副交感神経が優位なので、体は交感神経への刺激を欲して、塩辛いもの、唐辛子系の辛いもの、冷たいものなど、刺激の強いものを食べたがる傾向があります。
女性にこのタイプが多く、男性でも、ゆったりした性格の人は、このタイプに当てはまるでしょう。色白で、ぼっちゃり型の人が多いです。「リラックスした生き方だから疲れなくていいじゃないか」と思う人もいるかもしれませんが、そうとも言えません。

このタイプの疲れを一言で言うと、「すぐ、疲れる」。つまり、体を動かす筋力などの機能が弱り、体の能力全体が下がることによる疲れやすさなのです。元気な人が普通にできることで疲れてしまうという具合です。副交感神経優位タイプの疲れの具体的な感覚は、次のようになります。

副交感神経優位タイプの疲れの感覚

少し動くだけでも疲れる。やる気が起こらない。他人の目が気になる。小さなことが気になる。落ち込みやすい。朝起きるのが億劫になる。筋力が弱って、肩・背中・腰が疲れ、痛む。下痢をしやすい。体温が低い。

今日から始める「健康年齢を伸ばす」習慣

チェックリストで、ABの数の差があまりなかった人(1~くらい)は、どう考えればよいのでしょうか。そういう人は、交感神経優位と副交感神経優位の間を、シーソーをするように「揺れ動いている」人だと言えます。
AとBの差があまりなく、かつ体調がよければ、現時点では、健康的な生き方、あまり疲れで悩むことはない生き方をしていると言えるかもしれません。

具体的には、自律神経のリズムを感じ取りやすく、体の声を聴くことができ、意識的にメリハリの利いた生活をしている人が、これに当てはまります。

また、もともと備えている体質と、現在の生活がずれている人もいるでしょう。たとえば、色白でぽっちゃり、ゆったりした性格の副交感神経優位だった人が、育ち方や環境の影響を受けて、交感神経型の生き方をするようになった場合です。もちろん、この逆のパターンも同様です。

シーソーが機能しているわけです。一方、AとBの差があまりなく、体調が悪い人は、もしかしたら自律神経の働きが不安定になっているかもしれません。

「疲れない=病気にならない」はほぼイコール

疲れない体=病気をしない体
疲れない体=病気をしない体

免疫力は自分の体に落ち着いて耳を傾ける

「あー疲れたぁ!」が口癖になってしまっている現代人がとても増えています。無意識のうちに口にしている人も多いことでしょう。

疲れというのは、病気のほんの手前で、体が発するSOSアラーム、つまり、「体の警告」です。ですから、私たちが、その「体の声」を軽視したり、聞き逃したりすると、体にさまざまな不調が現れます。それがひどくなった状態が「病気」です。仕事はもちろん、日々の生活に支障をきたすこともあります。

あなたは、疲労を感じる時、体のどの部分に、どんな感覚を覚えるでしょうか?「全身で「疲れた」と感じるだけじゃないの? と思われる方がほとんどかもしれません。

漠然とした感覚しか自覚できない人の方が多いの事実です。特に、健康で体力もある20代や30代前半の男性にそうした傾向が見られます。男性は、だんだん体が言うことをきかなくなり始める30代の後半以降、病気になって初めて、必要に迫られ自分の体に注意を向けることになります。

疲れを解消する方法も、男性は、「じっと休む」とか、「とにかく寝る」など単純になりがちです。その数は片手で数えられるほどではないでしょうか。女性は、男性より繊細で敏感ですから、体の声を感じ取りやすいかもしれません。しかし、それでも私は、体のどんな声が、どんな状態を表しているのかを正しく聴くことができる人は、それほど多くないと思っています。その理由は、現代文明特有の病気にかかる人の数の多さに表れています。

疲れと上手につき合い、コントロールすることができれば、病気にはなりません。それどころか体が本来持っているパワーを存分に発揮することができます。今より、もっと大きな仕事、もっと喜びに満ちあふれた充実した毎日を手に入れることができるのです。

5分の深呼吸でも疲れが癒やされる

疲れといっても、いくつかの「タイプ」があります。そして、タイプが違えば、当然、解消方法も違います。

免疫学とは、もともと人間に備わっている免疫力によって病気を癒す医療分野です。

わかりやすく言えば、ウィルスや細菌など、さまざまな外敵から体を守る防衛システム「白血球の働きによって、体を病気から守る自然治癒力」のことです。

自律神経が白血球の働きに大きな影響を与えるという、「白血球の自律神経支配の法則」を通して見ると、疲れのタイプや解消法が具体的にわかってくるのです。さらには、タイプと共に、疲れの「レベル」もいくつかに分けられます。

「5分間の深呼吸で癒やせる疲れ」から、「病気のサインとしての疲れ」、「病気のレベルに達している疲れ」まで、それぞれの段階で体の中で起きている変化についても、見えてきます。