便秘対策と注意点

便秘の場合、より適切な治療をするために、便秘を障害部位別、起こる原因別に5タイプに分けて考えるとより早く解消できます。
それは、

  1. 小腸タイプ
  2. 結腸タイプ
  3. 直腸・肛門タイプ
  4. 内容物タイプ
  5. ストレスタイプ

という5つです。

通常治療に用いられる判断基準は、腸のけいれんによる便秘と、弛緩による便秘、そして直腸機能の低下によるものという3つの分類法ですが、これだけだと個々に合った治療方針を見つけるのが難しいのです。

といっても、先の5つのタイプに便秘がきれいに分類されるわけでもなく、むしろどれかひとつだけにあてはまる人はまれで、複数のタイプが複雑に絡み合って便秘症状が出ていることが多いのです。

それでも5 つに分類するほうが、正しい理解につながるはずです。

1のの小腸タイプは、小腸の悪化にともなう便秘で、とくに手術後の腸管癒着やクローン病が原因となります。治療には、便をやわらかくして排泄を促す塩類下剤や、小腸に刺激を与えるオリーブオイルやひまし油の摂取が有効です。
クローン病 | Condition
https://condition-info.com/archives/412

2の結腸タイプの便秘は、停滞腸に陥って腸管全体の運動機能が低下した場合や、腸管癒着や加齢、大腸メラノーシスによる機能低下が原因となります。化学合成系の下剤(ピコスルファートナトリウム)に代表されるぜん動運動を活発にさせる下剤や塩類下剤などが有効です。

3の直腸・肛門タイプは、手術で腸を切除したり、便意を我慢するのをくり返したりして、便意を感じなくなってしまうことによって起こる便秘です。直腸に直接刺激を与える炭酸ガスを発生させて腸の動きをよくする坐薬が有効です。

4の内容物タイプは、偏食や無理なダイエット、加齢などによる食事量および食物繊維摂取量の減少によって腸の内容物が極端に少なくなって起こる便秘です。この場合は、腸よりも内容物に問題があるので、薬というより上手に食物繊維を摂ることと水分を充分に摂ることのほうが有効です。ちなみに食物繊維は、ダイオキシンも排泄します。

食物繊維を積極的に摂る | 生活防衛マニュアルと環境ホルモンについて考える
https://life-ddefense.com/life/archives/111

5のストレスタイプは精神的なストレスや、冷え、寒さなどの物理的なストレス要因によって起こる便秘です。女性の場合は月経前の便秘もこれに属します。

有効な処置はトランキライザーなどの精神安定剤、γ・リノレン酸を摂取する食事(オリーブオイル、大豆、緑黄色野菜など) と、音楽療法などです。

天然成分で作られたガンマ-リノレン酸配合「イッチノン」の効能、効果
https://www.cause-reason.info/itchnon/2019/06/post.html

下剤の服用については、アロエやセンナ、大貴などの生薬が配合された「アントラキノン系下剤」は、市販もされていて、よく使われている薬ですが、使いかたには注意が必要です。
この薬は、長期間服用するうちに腸がその刺激に慣れてしまうので、服用量を増やしてしまい、しまいには「大腸メラノーシス」という病態になる可能性があるのです。

この大腸メラノーシスは、自覚症状は出ないものの薬物を体内で処理する過程で黒い色素が沈着し、大腸の動きを弱めてしまいます。そのため、とくに市販の下剤は注意して服用することが大切です。

便秘の治療に使われる薬 | 薬の効能と副作用(生活習慣病に関連する薬)
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